はじめまして。


BL小説を書いております、やぴと申します。
こちらは男同士の恋愛小説となっております。
ストーリーの関係上、性描写があります。
ご理解いただける方のみ、自己責任において閲覧ください。
実際は小説と呼べるほどのものでもなく、趣味で書いていますので、稚拙な文章ではありますが楽しく読んで頂けると幸いです。

コメントなど気軽に頂けると嬉しいです。
誹謗中傷などの心無いコメントは当方で削除させていただきます。ご了承下さい。

ヒナ田舎へ行く ブログトップ
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ヒナ田舎へ行く 80 [ヒナ田舎へ行く]

まったく、困ったことになった。

ヒナがブルーノと一緒にお風呂に入ったと旦那様にばれたらどうなる?

僕の首はきっと飛ぶ。それはもう間違いない。断言できる。

ダンは恐ろしさに身を竦ませた。仕事を失うわけにはいかないのに、ヒナを止める手立てがない。

そもそも僕ごときがそんなことできるはずもない。ヒナを止めるだなんて。せめてブルーノが断固として拒絶してくれればよかったのにと、思わずにはいられなかった。

ブルーノはいったいどうしてヒナの無茶な要求を受け入れたのだろうか?まるで一緒にお風呂に入りたがっているような印象さえ受けた。

まさか?

いやいや。そんなはずない。ブルーノは兄弟のうちで一番の堅物だし、どう見ても秘密主義で、誰かと裸の付き合いをするような人物だとはとても思えない。

カイルならさほど躊躇いはないだろう。スペンサーはなんだかんだ言いながらも臨機応変にすべての物事に当たるタイプだ。

ブルーノは違う。絶対だ。

「湯がもう冷めてるが、そのままでいいか?それともお湯を足すか?」ブルーノのヒナに向けられた問い掛けに、ダンはハッと我に返った。

随分長い間物思いに耽っていたように感じたが、実際はほんの一分にも満たない時間だったのだろう。ダンはいまにもキッチンを出ようとする二人に目をやった。

「あつあつがいい」とヒナ。お風呂は熱めが好みだ。

ブルーノが立ち止まる。「意外だな。お茶はぬるめが好きなのに、風呂は熱くて大丈夫なのか?」

「おじいちゃんが男は熱い風呂がいいって」ヒナはとことこ進みながら答えた。白くてひょろりとした脚は目的の場所へ辿り着くまで止まったりしないのだ。

ブルーノが追う。「ん?なんだって?おじいちゃんが?」

「ヒナはおじいさんから熱いお風呂に入るのが男らしいと教わっているようです」ダンはヒナのズボンを手に背後から助言した。

「ヒナはおじいちゃん子なのか?」

ヒナは小首を傾げた。意味が分からなかったようだ。

「いや、いいんだ」ブルーノは質問を諦めた。賢明だ。

スタスタと歩いていたヒナが突如立ち止まり後ろを振り返った。

ぶつかりそうになったブルーノがつんのめる。

ダンは余裕を持って停止した。

「ダンも入る?」ヒナがさらにとんでもない事を言い出した。

ブルーノはぎょっとしたようにダンを見たが、ヒナの突拍子もない発言に慣れているダンは速やかに対処した。

「僕は最後で結構です」ただの使用人が自分の仕える者と一緒に入浴をするなどもってのほか。まかり間違ってその機会が訪れたとしても、ヒナだけはダメだ。

旦那様に殺される。

そんなのは嫌だ。僕はもっともっと長生きがしたい。

「あのバスタブに一緒に入るのは無理ですからね」それどころかヒナとブルーノが一緒に入るのさえ無理がある。

「そうかな?」ヒナは半信半疑の態でまた歩き出した。

「そうですよ」ダンは諭すような口調で言うと、ぞっとしたような顔つきのブルーノに、僕が一緒にお風呂に入ることなどないので安心してくださいという目を向けた。

正直、内心穏やかではなかった。

つづく


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ヒナ田舎へ行く 81 [ヒナ田舎へ行く]

タンクに溜めておいた湯をせっせとバスタブに流し込みながら、ブルーノは我ながら呆れずにはいられなかった。

あれだけ贅沢はできないと口酸っぱく言っていたのはどこの誰だ?湯をじゃばじゃばと無駄使いしているではないか。これで明日の朝カイルがシャワーを浴びるときの湯(前日の残り湯なので、冷水ではない程度の温度だが)がなくなってしまった。

ともかく、明日からは時間を置かず続けて入浴することを提案しよう。熱い風呂好きのヒナが一番だ。

浴室の隅では、ダンがヒナのもじゃもじゃの髪を頭上で器用に束ねている。その間ヒナはシャツのボタンをぷちぷちとはずして床に落とした。ダンが素早く拾い上げる。ヒナの頭にはオダンゴが出来上がっていた。どうやら、まとめて丸めることをオダンゴというらしい。

素っ裸のヒナがタイルの上をぺたぺたと歩いてきた。ダンは端に控えている。

二人きりにさせるのは不安だということか?自分は一緒に風呂に入ることを拒絶しておきながら、こっちの裸は堪能するというわけか。まあいい。こうなったら見せつけてやろうではないか。

ブルーノは睨みつけるようにしてダンを見た。ダンはヒナをいつでも受けとめられるように、無表情のままタオルを手に立ち尽くしている。

ブルーノは言わずもがなの疑問を抱いた。いつもあんなに献身的なのだろうか?もちろんそうなのだろう。それがダンの仕事なのだから。

別にどうでもいいことだが、ダンの先ほどの目つきは気に入らない。

『あなたと一緒にお風呂?冗談じゃありません。僕は残り湯で結構ですから一人で入らせてください』

おおむねそのようなことを言っていたのだろう。

もっともな言い分だが、妙に腹立たしい。

「ブルゥは脱がないの?」

ヒナはバスタブの淵でかがみ込むようにして、胸にぴしゃぴしゃと湯を浴びせていた。

ブルーノはまじまじとヒナを見た。陶器のようにつるりとした肌にはほとんど毛がない。東洋人というのがそういうものなのか、ヒナが特別なのかわからない。とにかくあまりにも子供っぽい身体つきだ。

これで十五歳とは。ひとつ上のカイルが随分と大人っぽく感じる。

「もちろん、脱ぐに決まっている。そうしないと入れないだろう?」と言い返したが、虚しくもヒナの浴槽に飛び込む音によって掻き消された。

じゃぼんっ!

水しぶきが飛ぶ。ブルーノは驚いて飛び退いた。

ヒナがきゃははと笑う。身体がびっくりしないように胸元に湯を掛けたりと慎重だったわりには、大胆な飛び込み方だ。

ブルーノはしかめっ面でヒナをねめつけた。

ヒナは肩を竦めて、ぶくぶくと湯に沈んでいった。

まったく。よちよち歩きの頃のカイルと大差ないではないか。

そんなヒナの面倒を見るダンは、日頃随分と苦労しているのだろう。

でもまあ、それも仕事だ。

苦労した分の見返りは充分にあるのだろう。

ブルーノはシャツの前を肌蹴させながら、隅っこに佇むダンに向かって行った。

ダンが目を見開いたのを見て、ブルーノの胸の内に嗜虐的な喜びが湧きあがった。

都会もんのふにゃふにゃの身体とは全然違うだろう?

ブルーノはうっすらと微笑みを浮かべ、ダンの反応を楽しんだ。

つづく


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ヒナ田舎へ行く 82 [ヒナ田舎へ行く]

ブルーノは見せつけているのだろうか?

たくましい胸板とそこを覆う金色の縮れ毛を。

ダンは思わず自分の胸をタオルで隠した。シャツを着ていても、まるでその向こうにある締まりのない肉体を見透かされているような気がしたから。

でも僕だってまったく鍛えてないわけではない。ヒナの世話ははたから見るよりも重労働だし、自由時間だって無駄にだらだら過ごしているわけではない。

よくよく考えれば、そこそこいい身体をしているのかもしれない。そりゃあ、ブルーノみたいに引き締まってはないけど、それはそれ。元の造りが違うのだから仕方がない。僕の両親は、どこからどうみても肉付きのいい丸々した身体で、一般的には太っていると判断される。

「シャツをそこの椅子に掛けておいてくれ」

ブルーノにシャツを手渡された。お次はズボンだろう。その次は?まさか、下穿きまで手渡したりしないよね?

旦那様の脱ぎ散らかした下穿きやらなんやらを拾って歩いたことはあるけれど、普段はヒナのものにしか手をつけない。他人のそんなものを触るなんて、想像しただけで背筋が震える。

特に、ブルーノのは。

ダンはガタガタ震えながら、ズボンを受け取った。蒼ざめているのが自分でもわかるほどだが、ブルーノは澄ました顔で――見様によっては意地悪く微笑んでいるように見えなくもない――下穿きを脱いだ。

まだ温かいそれを差し出したら、叩き落としてやる!

ダンは知らず知らずのうち、威嚇するように歯の隙間から息を吐き出していた。

ブルーノはひょいと片眉を上げダンを見おろすと、ずいと詰め寄って来た。

ダンはヒッと悲鳴じみたものをあげた。

ブルーノが手を伸ばしてきた。

ダンはぎゅっとこぶしを握り、頑なに受け取りを拒絶した。その瞬間にはおそらく目を瞑っていたのだろう。気付けば、椅子の上の衣類にブルーノの下穿きは重ねられ、ダンの目の前には去りゆくブルーノのきゅっと引き締まったお尻が晒されていた。

なかなかいいお尻だ。

ダンは無条件で認めた。

「ああ!ダンが見てるー」ヒナが大きな声を出した。

こういうとき、ヒナは往々にして余計なことを言う。

ブルーノが腰をひねって振り返った。横腹の筋肉のねじれ具合がとても見事だ。ヒナにはあんな筋は出来ない。

ダンはウェインと違って、クラブで働いた事はない。クラブでは様々な種類の男の裸を当然目にするし、ちょっとした抱擁やキス、濃密な交わりまで否が応でも目にする。裸体ごときウェインは見慣れているだろうが、ダンは違う。

ブルーノのような素晴らしい肉体を目にするのはほとんど初めてで、恥ずかしげもなく見てしまうのは、羨ましさもあってのこと。美しいものを目の当たりにして目を逸らせないのは、それこそ人間の性というものだ。

なので下穿きを手にするのは嫌でも、ブルーノの裸体を見るのはそう嫌なことではない。

とはいえ、鼻先で笑うような態度を取られると、正直に見ていたと答えるのはひどく癪に障った。

「別に、見ていません」

ダンは真顔でうそぶいた。

つづく


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ヒナ田舎へ行く 83 [ヒナ田舎へ行く]

「ブルゥ、いきなり入ったらぽっくりいくよ」

ダンの視線に得意になっていたブルーノは、ヒナに注意されて冷や水を浴びせられた形となった。

「なんだって?」と言い返したが、素直に従った。ヒナの顔が真剣そのものだったから。

前屈みになって、湯をすくい、胸元にぴしゃぴしゃと浴びせる。

「これでいいか?」ブルーノはヒナにお伺いを立てた。

「カイルがヘクターじいさんみたいになるよって」ヒナは鼻の穴を膨らませて力説した。

ああ、ヘクターじいさんか。あのじいさんは熱い風呂が好きだった。

ブルーノはバスタブの端で膝を抱えて座るヒナと向かい合った。ヒナは好奇心も露わに人の身体をじろじろと見ている。ダンのことを言えた義理ではない。

「ヒナの石鹸使う?」

「ヒナの石鹸?どこにある?」ブルーノはバスタブの淵の石鹸置きを見た。いつもの薄っぺらな石鹸しかない。

「そこ」とヒナが指さしたのは、バスタブの足元、たったいまブルーノが湯をぴしゃぴしゃ浴びせていたその真下だった。ことによっては滑って転んでいたかもしれない絶好の場所だ。

「ヒナ、石鹸をこんなところに置いてはいけない」ブルーノは厳しい口調で言った。手を伸ばして石鹸を拾い上げると、湯の中のちゃぽんと浸けた。「たとえば、こういう風に濡れた石鹸はどうなると思う?」

「ぬるぬる」

「そう。その通りだ。では、もしもこれを踏んづけたらどうなる?」

「こけちゃう」真剣に答えるヒナ。

「そうだ。そんなものを足元に置いてはいけないだろう?」

ヒナはハッとしたように石鹸を見て、それからブルーノを見た。「はい、そうです」弱々しく罪を認める。

「やめてください!それは僕の不注意です」怒った様子のダンが、ヒナを苛めるのは許さないとばかりに大股でこちらへやって来た。

「いや、これはヒナの不注意だ。さっきは一人で入ったんだろう?ダンはいなかったよな?」

「ヒナの不注意です。ごめんなさい」しゅんと頭を垂れるヒナ。

「でもっ!ヒナはそこなら問題ないと思ったんです。悪気はなかったはずです」

「悪気はなかったです」とヒナ。更に反論しようとしていたダンは口をつぐんだ。

ブルーノはかしこまった口調のヒナについに噴き出してしまった。自分の非は認めているし、きちんと謝りもした。とてもいい子だ。

だからなおさら、ダンが過保護にかばうのは気に入らない。ヒナは一人前の男とは言えないかもしれないが、物事の良し悪しや、男としての潔さも持ち合わせている。ダンはもっとヒナを尊重すべきだ。

「よしじゃあ、今度から石鹸はここへ置くように」そう言ってブルーノは、薄っぺらな石鹸の上にヒナの高級石鹸を重ねた。

「はい」と歯切れのいい返事と同時に、ヒナが手を伸ばして石鹸を取った。「めいわくしてごめんなさい。ヒナが洗ってあげるね」

何を思ったのか、ヒナはずずずいっとこちらへ詰め寄り、石鹸を胸の辺りに押し付けた。もちろん俺の胸だ。

ブルーノは仰天したが、それ以上後ろへ引くことは出来なかった。

ヒナはひとの胸毛で石鹸を泡立て、小さくて柔らかな手で、その泡を身体全体に伸ばし始めた。

ブルーノはくすぐったさに自分でも想像もつかなかった声をあげた。

そばでダンがぷっと噴き出した。

つづく


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ヒナ田舎へ行く 84 [ヒナ田舎へ行く]

いまやヒナはブルーノの膝に乗っている。もしくは股の間に割り込んでいるか。

すごくまずいことになったけど、もう少しだけヒナにブルーノをいじめることを許そう。

離れた場所から見守るダンはにやにや笑いをかみ殺した。

石鹸の泡立て方は旦那様に教わったに違いない。だってヒナの胸には毛が一本もないんだから。

「こ、こら、そういうことは自分でやるから」ブルーノがヒナの手首を押さえつけた。石鹸が手から落ちる。

ちゃぽん。

「落ちちゃった」ヒナはブルーノに訴えかけると、身体を傾げて腕をめいっぱい湯の中に突っ込んだ。じゃばじゃばと湯を掻き、石鹸を探す。

余計に手の届かない場所へ行ってしまいそうだ。

「ヒナッ!それは石鹸じゃないぞ」ブルーノが慌てた様子で湯から半分ほど出た。

「へへっ。ブルゥのおっきい」

まさか?アレを触ったのか?

「わざとなのか?」ブルーノが目を剥いた。

ヒナはぶんぶんと首を振った。

ブルーノはまるで信じられないとばかりにヒナをねめつけた。ダンも同じ気持ちだった。きっとわざとに違いない。

まったく。ヒナはどうして旦那様以外の身体に触れても平気なのだろうか?一緒にお風呂に入るだけでも信じられない行為なのに、よりによってあそこを触るなんて。いっそ旦那様に告げ口しようか。ヒナの暴走を止めるためにも。そして僕の安寧のためにも。

「よし。ヒナは向こうの端に戻りなさい。それとももうあがるか?汗は流せただろう」

「まだいる」

ブルーノは体よくヒナを追い払おうとしたが、ヒナは応じない。

「のぼせても知らないぞ」

それでも諦めないブルーノ。そもそもヒナと入浴することに同意したのが間違いだ。

「ダンがいるから大丈夫」

ヒナの言葉に、ブルーノがこちらを向いた。湯気の向こうの瞳が訴えかけてくる。

『さっさとヒナを連れていってくれ』と。

ダンは諦めてくださいと念じるように見返し、ブルーノの裸体から目を逸らした。肩から腕にかけての筋肉の盛り具合も見事だ。なかなかがっちりしているのに、お仕着せ姿の時はとてもスマートに見えた。もちろんジェームズやホームズのように細いという意味合いではない。

ヒナは端に戻り、ブルーノはバスタブの底から石鹸を拾い上げた。二人は明日の予定を話し合い、それからヒナのロンドンでの暮らしぶりに話が及んだ。

ダンはヒナがうっかり口を滑らせないように耳をそばだてていたが、頃合いだと判断してタオルを広げながらバスタブに近づいた。

「ヒナ、今夜はこれでおしまい」これ以上湯に浸かっていると、本当にのぼせてしまう。時間を読み間違えて何度ヒナを湯に沈めてしまった事か。「明日、早く起きれたら、ノッティに直接手紙を渡せますよ」

最後の一言で、ヒナは即座に立ち上がって、キビキビとバスタブから脱出した。

ブルーノの感謝するような眼差しに気付いたが、知らんぷりしたまま、ヒナをタオルでくるんで、その場を辞した。

つづく


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ヒナ田舎へ行く 85 [ヒナ田舎へ行く]

「ヒナ、明日からはひとりでお風呂に入ってください」オダンゴを解きながら、ダンが深刻そうに言った。

ヒナは鏡越しにダンを見た。「どうして?」唇をすぼめて不満そうに訊ねる。

「どうして?ではありません。旦那様が知ったらなんと言うでしょうね?あんなふうに身体にべたべたと触ったりして、しかも、あそこを……ごにょごにょ」ダンは最終的に言葉を濁した。ブルーノの極めてプライベートな場所について口にするのは、あまりに無作法だと思ったからだ。

「わざとじゃないもん」ヒナはふくれっ面をした。

「そうだとしても、旦那様はいい気はしないはずですよ。逆の立場だったらどうです?もしも旦那様が……コリンと一緒にお風呂に入って、洗いっこなんかしたりしたら」

「やだっ!!だめだめっ!!」ヒナは勢いよく振り返り、ダンに掴みかからんばかり。

ダンはほれ見た事かと眉を高々とつり上げた、「でしょう?」

「ヒナは洗いっこなんかしなかったもん」ブーブー文句を言うヒナ。

「コリンが旦那様を洗ってもいいんですか?」ダンが素早く反論する。

「だめー。ジュスはヒナのだから」ヒナは憤然と言い、前を向いた。

ダンがヒナの髪にそっと櫛を通す。「ではヒナは誰のものですか?」

ヒナは一瞬考え込んだ。「ジュス」

「そうでしょう。だからお互いがされて嫌なことはしてはいけません。わかりましたか?」

「はーい」とヒナはいったん返事をしたが、咄嗟に付け加えた。「カイルもダメ?」

「カイル?カイルは、まぁいいでしょう。スペンサーはダメです」

「はいっ!わかりました」ヒナはふんっと胸を張った。

「では旦那様には黙っておきましょう」少々偉ぶった態度だったが、この場合は適当だったように思う。そうしなければヒナの暴走は止められやしないのだから。

「でも、ヒナはブルゥのスパイをしたの」ヒナは予想外のことを口にした。

「スパイ?どうして?何か分かりましたか?」ダンは意外にも食いついた。

ヒナはダンに気づかれないように、くふふと含み笑いを漏らした。「ダンのため」

「僕の?」ダンは驚きに目を見張った。「追い出したりしないかどうかってこと?」

「ブルゥはね、ダンのことが気になって、やきもきしてるの」

「ブルーノが僕を気にする?やきもきって、どこでそんな言葉を覚えたんですか?」

「ブルゥはダンに見られて嬉しそうだった。ヒナもジュスに見られたら嬉しいから分かる」

「旦那様とブルーノは全然違いますよ。それにお互いの関係だって。ヒナは旦那様のものだけど、僕はブルーノのものではありません。その逆でも」

「でも。ほんとは一緒にお風呂に入りたかったんだと思うけどなー」ヒナはおちゃらけた態度で頭をかくかくと左右に傾げた。

「冗談でしょう?」ダンはヒナ相手に真剣に訊き返した。もっとも、まともな返事が帰って来るとは思っていなかった。

ヒナはくふふと笑っただけで、ダンの手をすりぬけベッドへ潜り込んでしまった。

明日の朝は早い。

つづく


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ヒナ田舎へ行く 86 [ヒナ田舎へ行く]

ラドフォード館、滞在三日目。

この日は朝から雨だった。

窓の向こうには灰色の陰気な空が広がり、静かな寝息を立てて眠るヒナの枕元にまで雨音は忍び寄っていた。

ダンは洗顔用の湯を階下から運んできて洗面器にあけると、暖炉に火をいれた。今朝は肌寒く、裸で眠るヒナが風邪を引きかねない。そんなことになっては従者として失格だ。

「ヒナ、起きてください」最初はそっと囁くように。「ノッティがそろそろやって来ますよ」次は少し大きな声で。「旦那様への手紙をノッティにお願いするのでしょう」

ヒナの目がぱちっと開いた。

「ノッティ?」

「ええ、そろそろやって来ますよ」

ヒナは目を閉じた。やって来るものの正体を、まだ眠ったままの頭で考えているようだ。

そのうちもぞもぞと上掛けから這い出てきてベッドの端に腰掛けると、ダンの差し出すカップを目をしょぼしょぼさせながら受け取った。

一口飲んでカップを戻す。ダンはカップをサイドテーブルに置き、シャツを手にした。

「雨?」ヒナはようやく気づいたようだ。窓の方に顔を向け――ほぼ真後ろだ――雨で喜ぶべきか残念がるべきかしばし悩む。どちらが正解か分からなかったようで諦めて前を向いた。シャツの袖に腕を通しながらダンに答えをせがむ。

「ピクルスに乗ってのお出かけは無しになりました。なので今日の予定は僕が決めました。午前中はアダムス先生の課題をやりましょう。午後はちょっと考えていることがありますけど、時間があればそれを、ないようでしたらまた今度」

ヒナは聞いていたのかいないのか、ふわぁとあくびをしながら顎先をあげた。ダンはシャツの小さな飾りボタンを上から順に留めると、ベッドの中をごそごそとやリ、ヒナの下穿きを回収した。

シャツの裾から覗く、ヒナのアレ。ずいぶんと見慣れたが、こういうものは見慣れるものではないはず。とはいえ、旦那様も裸で眠るので、ウェインも毎朝目にしているのだろう。もっと大きな一物を。

使用人というのは石ころも同じだが、まったく動じないというわけではない。ヒナのような裸でも見ればドキリとするし(もう慣れたけど)、イチャイチャしている姿を目にすれば、誰かに見られやしないかとおたおたしたりもする。

だからといってあからさまに狼狽えたり、主人に気を使わせるなど言語道断。使用人失格。

「今日はジュス来る?」ヒナはへその辺りのボタンを指先で転がしながら訊ねた。

「さあ、どうでしょうね?雨も降っていますし。もし来るようでしたら午前のうちにロシターが使いでやって来るでしょう」ダンは下穿きとズボンを手早く穿かせると、指先の冷えたヒナの足に靴下を履かせた。

「お父さんとお母さんにいつ会えると思う?」ヒナは靴下の中で足の指をうごめかしながら、ダンの額の傷に触れた。

ひざまずくダンは目を伏せたまま、優しい指先が額から鼻先へと移動するに任せた。

「伯爵の考えは分かりませんが、もう少し様子を見ましょう」もしかすると近いうちに、スペンサーやブルーノの協力を得られるようになるかもしれない。そうすれば、両親の墓参りも出来るだろう。もちろん、この土地のどこかに眠っているとしてだけど。

カイルはすでに味方だが、まだヒナの正体を明かすには早すぎる。旦那様とも相談して、時期を見ることにしよう。

ヒナはダンの言葉に同意するようにこくんと頷くと、ベッドから降り立った。お次はもじゃもじゃ頭のしつけ直しだ。

つづく


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ヒナ田舎へ行く 87 [ヒナ田舎へ行く]

伸びすぎた髪を背中で揺らしながら、ヒナはキッチンへ続く裏階段を降りていた。ダンは部屋に残り片付け中。今朝はヒナが一人でノッティに会う。

キッチンに近づくと、ノッティの陽気でかん高い声が聞こえてきた。

「でさ、お隣さんの厨房のすごいのなんの。食材の宝庫っていうか、食料品店みたいだった」

食材の宝庫の方が食料品店よりもすごいような気がしたが、ヒナはどちらも見たことがなかったので、ひとまず聞き流した。

「おはよう、ノッティ!」キッチンに足を踏み入れながら、ヒナは元気いっぱい挨拶をした。

「あ、おはようヒナ」とノッティ。自分の話を聞いてくれる人が一人増えて嬉しそうだ。「今朝もばっちり決まってるね。さすがロンドンっ子だな」人を褒めるのが上手である。

「おはよう」「おはようヒナ」カイルとブルーノもノッティに負けじと声を出す。

「おはようブルゥ。おはようカイル」

ヒナはノッティの隣に座って、ノッティの手の中のマグをのぞき込んだ。

「これ?ブルーノさん特製のはちみつ紅茶だよ」ノッティが言う。

「ヒナはどっちにする?コーヒー?紅茶?あと、ミルクもあるよ」

カイルにミルクを勧められヒナはムッとした。

赤ちゃんじゃないんだからねっ!

「コーヒーにしよっかな」おとなぶった口調でブルーノに注文する。

「お!さすがだな」ブルーノはごきげんだ。昨日いっぱいやきもきしたからかなと、ヒナは思った。

「ヒナはブルーノさんのコーヒーの良さが分かるんだ。オレはダメだ。あの苦い感じがぜんぜん好きになれない。でもまぁ、パン生地に混ぜて焼いたらなかなか良かったけどね。父ちゃんが試作中なんだ。マーマレードつけて食べたら、まあまあいけてたし」

「マーマレード、にがい」ヒナは渋面を作った。

「あっれー、ヒナはマーマレード苦手派?オレっちはスグリなんかがダメだな。口ん中真っ黒になるしさ」ノッティはニイッと真っ白な歯を剥き出しにした。

「僕はマーマレード好き」とカイル。朝食用のジャムの中にマーマレードがあることを確認する。

「ねぇ、ノッティ。昨日、ウォーターさんに会った?今日も会う?手紙お願いできる?」ヒナはすっぱり話題を変えた。マーマレードよりなにより重要なのは、ジャスティンに無事手紙が届くことだ。

「ウォーターズさん?もちろん会ったよ。あの人いい人だよ~。見た目はちょっとこわいけどさ。うちのパンをすごく褒めてくれたし、チョコレートもくれたんだ。母ちゃんがすごく喜んでさ、あの人のとこは特別美味しいパンを届けなきゃって張り切ってるんだ」さすがはおしゃべりノッティ、話題が変わっても饒舌だ。

「うちにも昨日とは違うパンが届いたぞ。ウォーターズさんからだそうだが、こうあれこれ干渉されるのは気に入らないな。うちはうちのやり方ってもんがあるんだ。朝は硬い丸パンと山形のパンと決まっている」

「決めつけなくてもいいけどね」とカイル。ふわふわのパンの虜だ。

ヒナはブルーノが不満がるパンを見ようと身を乗り出し、テーブルの上のパン籠を覗き込んだ。

まさかのシモンの甘いパンに、ヒナは喜びの悲鳴をあげた。

つづく


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ヒナ田舎へ行く 88 [ヒナ田舎へ行く]

ヒナの向かいに座るカイルは驚いて飛び上がった。「もお、ヒナが急に大きな声だすからびっくりしちゃった。どうしたのさ」

「え、えっと。ヒナの好きそうなパンがあったと思って……」ヒナは顔を真っ赤にして、もごもごと言い訳をした。

興奮のあまり悲鳴を上げたヒナだが、カゴの中のパンが『シモンのパン』だとは言えない。当然、どうして隣人が『シモンのパン』を知っているのか、という問題が起こってくるからだ。

「バターたっぷりの甘いパンだよ。秘密のレシピで作られてるんだ。父ちゃんはオレにも内緒だって言ってさ、レシピは教えてくれなかった。でもすんごいふわふわでうんまいんだー」

ヒナの口の中には早くもよだれが溢れていた。早く食べたい。

「ぶれっくふぁあすとは何時から?」ヒナは舌をもつらせながら訊ねた。

「ヒナはロンドンっ子なのになまってるんだな?下町?じゃないよなー」

ヒナはショックを受けた。知らない言葉はいっぱいあるものの、自分ではうまく喋っているつもりだったし、なまっているという自覚もなかった。

これまで何度か喋り方がおかしいと指摘された事があるのだが、そのことは都合よく忘れてしまっているようだ。

「ヒナは日本語がじょうずなんだ。だから混ざってちょっとなまっちゃうんだって。ダンが言ってたよ」カイルがヒナを援護した。

ヒナは親愛の情を込めてカイルを見た。カイルはわかっているというふうにヒナを見て頷いた。すでに二人の間には友情が芽生えていた。

「へぇ!日本語かぁ。すごいなぁ~」ノッティは感心しきり。とはいえ、日本語も日本人も未知の存在だ。「あ!そろそろ行かなきゃ。雨が降ってるから急ぎ足だ」そう言って立ち上がると手紙をズボンのポケットに滑り込ませた。「それじゃ、また明日な」

「ばいばいノッティ~」ヒナはすでに姿の見えないノッティに向かって手を振った。

「さあ、お前たちも出て行ってくれ。きっちり七時半に朝食を食べたければな」ブルーノはやたら長居をする子供たちにしっしとやった。

カイルはやれやれと腰をあげた。「はいはい。僕はテーブルのセットをしに行くけど、ヒナはどうする?部屋に戻っとく?」

「ヒナも手伝う。ひまじんだから」ヒナはコーヒーを飲み干してから席を立った。ブルーノにごちそう様と言うのも忘れなかった。

「ヒナは仕事しなくていいんだよ。お客様なんだから、暇人でいいの」先をゆくカイルはヒナがついて来ているのを確認すると、意気揚々と袖をまくった。

「でも午前中は勉強して、そのあとは内緒の何かをするんだ」そうそう暇でもないんだとカイルに知らせる。

「内緒の何かって?」カイルは興味を示した。

「ダンは教えてくれなかった」ヒナも興味津々なのに、何も知らない。

「へぇ、僕も仲間に入れてもらえるかな?」

「わかんない」

階をひとつ上がり、けばけばしい食堂に入ると、カイルはテーブルにシルバーをセットし始めた。ヒナは取り皿を手にカイルのあとを付いて回る。

「ねぇヒナ」カイルが神妙に話しかけてきた。

ヒナは「なぁに?」と応じた。

マグを置いて回っていたカイルがぴたりと止まる。ヒナはナプキンを配り終え、椅子にちょこんと座った。そこはスペンサーの席だった。

「ほんとは何に驚いたの?あのパンに何か秘密があるんでしょ?」なかなか鋭いカイルにヒナの心臓はドキーンと飛び跳ねた。

「秘密なんかないんだよぉ」ヒナの声は尻すぼみになった。事情はあれど、カイルはもう友達。嘘は吐きたくない。けど、言ってはいけないのだ。お隣さんがジュスでヒナのために隣にいることは。

ひとつ本当のことを言えば、いつかヒナと伯爵の関係がばれてしまうだろう。そうなったら約束違反で、ヒナは両親に会わせてもらえなくなる。

でももうばれるのは時間の問題のように思えた。あとでダンと密談しなきゃ。

つづく


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ヒナ田舎へ行く 89 [ヒナ田舎へ行く]

「ま、いいけどさ」カイルはさばさばした様子で、テーブルのセッティングを終えた。

本当はすごく知りたくて、お尻がむずむずしているけど、ヒナは『訳あり』だから仕方がない。

スペンサーとブルーノがひそひそ話しているのを聞いたのだ。ヒナはいろいろ訳ありだって。そう考えると、いろいろ盛りだくさんにおかしなところはある。

ヒナの両親はどうしてヒナをジュスに預けているのか。ジュスのお兄さんと伯爵は知り合いだって言うけど、じゃあ、ジュスのお兄さんは何者なのか。それでどうしてヒナはここに来たのか。スペンサーたちは知っているんだろうけど、こっちは知らないことだらけだ。

「カイルは勉強しないの?」

「べ、勉強?しないわけじゃないけど」あまり好きじゃないだけ。

「じゃあ、ヒナと一緒にする?忙しい?」

「え?まあ、忙しいって言えば忙しいけど……ヒナはずっとアダムス先生に教わってるのか?学校は?」カイルはいつもの自分の席に座った。朝食まであと五分。

「学校きらい」ヒナはうぇーと舌を出した。

「そうなんだ。意外だな……」理由を訊いてもいいのか迷う。

「どうして?」ヒナは小首を傾げた。よくやる癖だ。

「だって、ヒナって誰とでも仲良く出来そうじゃん。僕はダメだったんだ。あんまり馴染めなくてさ。だからスペンサーに勉強を教わってたんだけど、スペンサーは教えるのへたくそなんだ」

「へたくそ」ヒナはぷぷっと笑った。

そこにタイミングよくスペンサーが登場し、子供たちは飛び上がった。朝から驚きの連続だ。

「朝からご挨拶だな」

「お、おはようございますっ!スペンサー」

「おはようヒナ。俺の名前を歌わずには呼べないのかな?今朝はそこに座るのか?では、俺はこっちに座ろう」スペンサーは回り込んで、ヒナの席を陣取った。

「ヒナが一緒に勉強しようだって」図らずも正面から兄を見据えることとなったカイルが早速切り出す。最初はまったく興味のなかった勉強をしてみるのも悪くないと思ったのだ。

「したいのか?」

「……ぅん」ヒナと二人なら楽しく勉強できそうだもん。手紙を書くのもすごく楽しかった。

「ヒナはそれで困らないのか?ダンの了承は得たのか?」スペンサーはカイルとヒナと、順に目をやった。

「ダンはいいって言うよ」ヒナは適当に答えた。

「何をいいって言うんですか?」ダンがパン籠とゆで卵の入った器を手に食堂に入って来た。後ろのブルーノはなぜか顰め面で、スープポットとカリカリベーコンを乗せたトレイを手にしている。

「ダンはブルゥのお手伝いしてるの?よかったね、ブルゥ」ヒナはにこにこ顔で二人を迎えた。

「どういう意味だ?」スペンサーが問う。

「意味?ないよ」ヒナはとぼけた。「ねぇ、ダン。カイルも一緒に勉強する」決定事項とばかりに報告する。

「ええ、いいですよ」ダンは即答。ヒナの言った通りだ。

「やった!」とカイルははしゃぎ、ヒナとにこりと目を合わせた。

「よし。ではいただこうか」

楽しい朝食の始まりだ。

つづく


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